脱水症の予防や治療のためには海水を飲まないことです。人間の腎臓は尿を濃縮する能力が限られているため、塩化ナトリウムを排泄するために尿で失われる水分量は、飲んだ海水の水分量よりも多くなります。その結果、純水損失が発生します。
詳しい説明は以下の通りです。
E. Hall, Guyton and Hall Textbook of Medical Physiology, 13th edition, 2016 (p. 373)
尿をわずか1,200mOsm/Lに濃縮する人間の腎臓の限られた能力は、海水を飲もうとすると重度の脱水が起こる理由を説明しています。
海の塩化ナトリウム濃度は、約1,000と1,200mOsm/Lの間の浸透圧で約3-3.5%を平均しています。尿の最大濃度能力が1,200mOsm/Lの場合、1,200mOsmを排泄するために必要な尿の量は…1リットルになります。
腎臓はまた、尿が最大濃度のときに約600mOsm/Lを寄与する他の溶質、特に尿素を排泄しなければなりません。したがって、腎臓によって排泄されることができる塩化ナトリウムの最大濃度は約600mOsm/Lです。したがって、海水を1リットル飲むごとに、600mOsmの他の溶質に加えて摂取した1200mOsmの塩化ナトリウムを体外に排出するためには、1.5リットルの尿量が必要となります…これは、海水を1リットル飲むごとに0.5リットルの純体液損失をもたらすことになります。